顧客データを活用したマーケティング施策の精度向上やLTV最大化が求められる中、注目を集めているのが「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」の導入です。しかし、市場には多種多様なCDPツールが存在し、「どれを選べばよいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、CDPの基礎知識から導入のメリット・注意点、選定時の比較ポイント、さらにはおすすめのCDPツール10選までを網羅的に解説します。自社に最適なツール選定に向けた一歩を踏み出すための参考として、ぜひご活用ください。
目次
CDPとは?

顧客一人ひとりに最適なアプローチが求められる現代のマーケティングにおいて、注目を集めているのが「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」です。CDPは、あらゆるチャネルに分散した顧客データを統合・分析し、パーソナライズ施策の精度を高める基盤として活用されます。まずはその基本的な役割や機能について、わかりやすく解説していきます。
CDPの定義と役割
CDPとは、ECサイトやアプリ、SNSなど、複数のチャネルやシステムから取得した顧客データを一元管理し、統合的な顧客プロファイルを構築するためのプラットフォームです。これにより、顧客一人ひとりの行動履歴や属性情報を横断的に把握できるようになります。
CDPの主な役割は、以下の3点に分けられます。
- データの収集:Webサイト、モバイルアプリ、SNSなど、さまざまな接点から顧客データを取得
- データの統合:顧客IDを軸に異なるデータを紐づけ、統一されたプロファイルとして管理
- データの活用:マーケティング施策やカスタマーサポート、営業活動などに活用し、顧客体験を向上
CDPは、マーケティング領域にとどまらず、営業支援やカスタマーサポートの効率化にもつながります。顧客ごとのニーズに合わせたパーソナライズ施策を実現するための基盤として、企業活動全体の質を高める重要な役割を担っています。
CDPが注目される理由
CDPが注目を集めている背景には、デジタル化の進展や消費者行動の多様化があります。顧客はオンラインやオフラインを問わず、複数のチャネルを使って情報収集や購買を行うため、企業が取得するデータは分散しやすい傾向にあります。
こうした分散したデータを統合することで、顧客一人ひとりの行動を可視化でき、企業はより深い顧客理解に基づいたマーケティング施策を展開できるようになります。
加えて、GDPRやCCPAといったプライバシー保護規制の強化を受け、ファーストパーティデータの重要性が高まっています。CDPは、自社で収集した顧客データを安全に管理・活用するための信頼できる基盤として機能します。
さらに、AIや機械学習の進化により、CDPを活用した高度な分析が可能となり、より正確なターゲティングや将来の行動予測にも役立ちます。
CDPツールのタイプ別特徴と選び方

CDPツールは、特化型、MA連携型、Web接客連携型などのタイプがあり、企業の規模や目的に応じて選定することが重要です。それぞれの特徴を理解して選びましょう。ここからは、CDPツールのタイプ別特徴について解説します。
CDP特化型ツールの特徴と適した企業
CDP特化型ツールは、顧客データの収集・統合・分析に強みを持ち、なかでも高度な分析機能が特徴です。顧客の購買行動や属性を詳細に把握できるため、マーケティング施策の精度を高めることが可能になります。
たとえば、ECサイトやアプリから取得した行動データをリアルタイムで収集し、セグメントごとにパーソナライズされたメッセージを配信することができます。こうした機能は、データをもとに戦略的なマーケティングを展開したい企業に向いています。
MAツール連携型ツールの特徴と適した企業
MA(マーケティングオートメーション)ツールと連携できるCDPは、顧客データの収集・統合に加え、そのデータを活用してマーケティング施策を実行できるのが特徴です。収集したデータをリアルタイムでMAツールに連携し、即座に施策へ反映できる点が強みです。
たとえば、CDPでセグメント分けした顧客リストをもとに、パーソナライズされたメール配信や自動化されたリードナーチャリング(育成)を展開できます。顧客ごとの接触履歴も一元的に可視化されるため、タイミングや内容を最適化した施策が可能になります。
Web接客連携型ツールの特徴と適した企業
Web接客連携型のCDPは、顧客のオンライン行動データを活用し、リアルタイムでパーソナライズされた接客を実現できる点が特長です。これにより、ECサイトやウェブアプリにおける顧客体験の質を高めることが可能になります。
たとえば、閲覧履歴に応じた関連商品のレコメンドや、特別オファーの表示によってコンバージョン率の向上が期待できます。さらに、チャットボットやポップアップを活用することで、訪問者の疑問をその場で解消し、購買行動を後押しする効果もあります。
CDPツールの主な機能

CDPツールは、データ収集、統合、分析、外部ツールとの連携、パーソナライズ、可視化、マーケティング施策の実行など、多彩な機能を備えています。ここでは、CDPツールの主な機能を紹介します。
データの収集機能
CDPツールには、多様なチャネルから顧客データを収集する機能があります。ウェブサイトやモバイルアプリ、SNS、ECサイトといったオンラインチャネルに加え、オフラインの接点からもデータを取得できます。
たとえば、サイト訪問者の行動ログや購入履歴、メールの開封状況といった情報を収集し、マーケティング分析の基礎データとして活用可能です。また、オフラインで得たPOSデータや店舗来訪情報なども取り込むことで、O2O施策の実行にもつながります。
データ統合機能
CDPのデータ統合機能は、顧客情報を一元管理するために欠かせない要素です。複数のシステムから収集したデータを、顧客IDをもとに統合し、重複を排除した正確なプロファイルを作成します。
たとえば、ウェブサイトでの行動履歴や購買情報をひとつの顧客データとしてまとめることで、精度の高いセグメント化やパーソナライズが可能になります。さらに、データの名寄せやクレンジングも自動で行われるため、常に最新かつ整った情報を維持できます。
データ分析機能
CDPには、収集・統合した顧客データをもとに、詳細な分析を行う機能が備わっています。顧客の購買行動や関心を可視化することで、ターゲティングやマーケティング戦略の精度向上につながります。
たとえば、顧客の属性や購買履歴をもとに、LTV(顧客生涯価値)や離反リスクを分析し、それに応じた施策を打ち出すことが可能です。さらに、機械学習やAIを活用することで、顧客の将来的な行動を予測することもできます。
外部ツールとの連携機能
CDPは、CRMやMA、BIツールなどの外部ツールと連携できる機能を備えています。これにより、収集・統合した顧客データをさまざまなシステムで活用し、統一感のあるマーケティング施策を展開できます。
たとえば、CDPで作成したセグメントをMAツールに連携してメール配信を自動化したり、BIツールと連携してパフォーマンスを可視化するダッシュボードを構築したりすることが可能です。さらに、広告プラットフォームと連携することで、セグメントごとのターゲティング広告を効率的に展開できます。
パーソナライズ機能
CDPのパーソナライズ機能は、顧客一人ひとりに最適な体験を提供するうえで欠かせない要素です。顧客の行動履歴や属性情報をもとに、商品レコメンドやカスタマイズされたメッセージの配信が可能になります。
たとえば、ECサイトで過去に購入した商品データを活用し、関連商品を提案するレコメンド機能や、購買履歴に応じて名前入りのメールを自動生成する機能などが挙げられます。
レポート・可視化機能
CDPのレポート・可視化機能は、収集した顧客データを直感的に理解できる形で表示する機能です。これにより、顧客の行動や施策の効果をリアルタイムで把握できるようになります。
例えば、ダッシュボード上でセグメントごとの購買行動やキャンペーンの成果をグラフ化し、改善すべきポイントを迅速に特定することが可能です。さらに、顧客の行動データをもとにしたトレンドの把握や、売上への貢献度を視覚的に分析する機能も搭載されています。
マーケティング施策実行機能
CDPには、マーケティング施策を実行する機能も備わっています。セグメント化された顧客リストを活用することで、ターゲットに応じた広告配信やメールキャンペーンの展開が可能です。
たとえば、特定の商品に興味を示した顧客に対し、パーソナライズされたメールを自動配信することで、コンバージョン率の向上が期待できます。さらに、広告プラットフォームと連携すれば、セグメント別に最適なターゲティング広告を配信でき、広告費の効果を最大限に高めることができます。
CDPツールを導入するメリット

CDPツールを導入することで、顧客データの一元管理、パーソナライズの実現、施策精度の向上、データ共有の円滑化など、多くのメリットが得られます。ここからは、CDPツールを導入するメリットを解説します。
顧客データの一元管理が可能
CDPは、分散している顧客データを一元的に管理する機能を備えています。これにより、企業は顧客ごとの詳細な情報を統合し、全体像を把握できるようになります。
たとえば、CRMやMA、POSなど複数のシステムから収集したデータをもとに、顧客ごとのプロファイルを構築することで、マーケティングや営業活動に有効活用できます。
データが一元化されることで、分析の精度が高まり、施策の最適化にもつながります。
パーソナライズされた顧客体験を提供
CDPは、顧客の行動履歴や属性情報を活用し、個々に最適化された体験の提供も可能にします。これにより、顧客満足度の向上やリピート購入の促進が期待できます。
たとえば、過去の購買履歴をもとに関連商品をレコメンドしたり、顧客ごとの関心に合わせたパーソナライズメールを配信したりできます。ECサイトにおいては、興味に応じた特集ページを自動で表示することも可能です。
マーケティング施策の精度向上
CDPは、顧客データを詳細に分析することで、マーケティング施策の精度を高めることができます。これにより、ターゲットの選定や施策の効果測定を効率的に進められます。
たとえば、特定の属性を持つ顧客グループをセグメント化し、それぞれに最適化された広告やプロモーションを展開することで、施策の成果を最大限に引き出すことが可能です。さらに、施策後のデータを活用して効果を分析すれば、PDCAサイクルの高速化にもつながります。
部門間のデータ共有が容易
CDPは、部門をまたいだデータ共有をスムーズに行うための重要なツールです。一元化された顧客データを全社で共有することで、各部門が同じ視点で顧客を理解できるようになります。
たとえば、マーケティング部門が収集した情報を営業部門が活用すれば、より的確な提案が可能になります。さらに、カスタマーサポートでは、購入履歴や問い合わせ内容を把握したうえで、迅速かつ適切な対応が行えます。
分析結果を迅速に活用可能
CDPは、顧客データの分析結果をすぐに活用できる環境を提供します。これにより、データに基づいた施策をタイムリーに展開することが可能です。
たとえば、キャンペーン実施中にリアルタイムで顧客データを分析し、その結果をもとにターゲット層やメッセージ内容を柔軟に調整することで、施策の効果を最大化できます。また、得られた分析結果を広告配信やメール配信ツールと連携させ、即座に反映させることも可能です。
コンプライアンスやセキュリティの強化
CDPは、顧客データを安全に管理・運用するための高いセキュリティ機能とコンプライアンス対応を備えています。これにより、企業は各種の法規制を遵守しながら、安心してデータを活用できます。
たとえば、データの暗号化やアクセス制御を通じて、不正なアクセスを防止。さらに、GDPRやCCPAなどのプライバシー規制にも対応しており、顧客の同意に基づいた適切なデータ運用が可能です。
顧客満足度とリピート率の向上
CDPは、顧客満足度の向上やリピート率の改善に向けた施策を支援します。一貫性のある体験を通じて、顧客との関係性を深めることが可能です。
たとえば、過去の購買履歴をもとに特典を提供したり、顧客の嗜好に合わせたキャンペーンを展開することで、再購入を促すことができます。また、問い合わせ履歴を活用し、個別対応のサポートを行うことで、顧客満足度をさらに高めることが可能です。
CDPツールを導入するデメリット

CDPツールの導入には、コストの高さ、データ統合の複雑さ、専門知識の必要性、セキュリティリスク、ROI確保の難しさ、運用負担などの課題があります。ここでは、CDPツールを導入するデメリットについて解説します。
導入コストと運用コストが高い
CDPツールの導入には、初期費用や運用コストが発生するため、特に中小企業にとっては負担になる場合があります。なかでも、データの収集・統合・カスタマイズといった機能を十分に活用するには、ある程度まとまった投資が必要です。
たとえば、ツール自体のライセンス費用に加え、既存システムとの連携にかかる追加コストが発生するケースもあります。また、導入後もデータの更新やシステムの保守、ベンダーとのサポート契約など、継続的な支出が避けられません。
そのため、導入から短期間で投資回収(ROI)を実現するのは難しいこともあります。
データ統合とクレンジングの難しさ
CDPツールを導入する際には、複数のシステムからデータを集約し、一貫したフォーマットに整える「データ統合」と「クレンジング」の作業が欠かせません。しかし、この工程には多くの時間と労力を要することがあります。
たとえば、保存形式が異なるデータの変換や、重複・欠損データの検出と修正など、細かな対応が必要です。特に大規模なデータを扱う企業では、この作業がシステム運用の遅延やトラブルの原因となるケースもあります。
こうした負担を軽減するためには、データ処理に精通したスタッフの配置や、明確なデータ管理ルールの整備が不可欠です。
専門知識や技術の必要性
CDPツールの導入や運用には、一定の専門知識と技術が必要です。とくに、データの統合や分析、カスタマイズ機能の活用には、高度なスキルが求められます。
たとえば、データエンジニアやマーケティングアナリストが連携して作業を進める場面も多く、こうした専門人材が確保できない場合には、導入効果が十分に発揮されない可能性もあります。また、社内スタッフへのトレーニングや外部コンサルタントの活用が必要になるケースもあり、結果としてコストが膨らむ要因にもなります。
システム連携の難易度
CDPを既存のシステムやツールと連携させる際には、技術的な難易度が高くなる場合があります。特に、古いシステムや互換性のないツールを利用している場合は、連携に時間やコストが多くかかるケースも少なくありません。
たとえば、CRMやERP、マーケティングオートメーションツールとデータを連携させるには、カスタムAPIの開発やデータフォーマットの変換が必要になることがあります。
データセキュリティへの懸念
CDPは大量の顧客データを扱うため、常にセキュリティリスクを伴います。不正アクセスやデータ漏洩のリスクを想定し、適切な対策を講じることが不可欠です。
たとえば、データの暗号化やアクセス制御、ログの監視といった基本的なセキュリティ対策が不十分な場合、外部からの攻撃を受けやすくなります。さらに、GDPRやCCPAといったプライバシー規制に違反する可能性もあるため、法的なリスクにも注意が必要です。
こうしたリスクを軽減するには、CDPツールの選定段階でセキュリティ機能を重視することが重要です。
ROIの確保が難しい場合もある
CDPを導入しても、必ずしも期待通りのROIを得られるとは限りません。特に、データ活用の目的があいまいな場合、導入にかけたコストに見合う成果が得られにくくなります。
たとえば、ツールを導入しても社内での運用が定着せず、活用範囲が限定的になるケースがあります。また、KPI(重要業績評価指標)が明確でないと、施策の効果測定ができず、改善につなげることが難しくなります。
さらに、初期コストが高額なツールの場合、投資回収までに時間がかかる点にも注意が必要です。
継続的な運用負担
CDPは導入後も、継続的な運用作業が必要になります。データの更新やシステムの保守、スタッフへのトレーニングなど、日常的な対応が求められます。
たとえば、新たなデータソースを追加する場合には、設定変更や動作確認のテストが発生し、既存業務に影響を及ぼす可能性があります。また、データの品質を保つためには、定期的なクレンジングやモニタリングも欠かせません。
CDPツールを導入する際に確認すべきポイント

CDPツール導入時には、必要な機能や連携性、操作性、コストバランス、セキュリティ、サポート体制、拡張性、評判などを総合的に検討することが重要です。ここでは、CDPツールを導入する際に確認すべきポイントについて解説します。
自社に必要な機能が搭載されているか
CDPツールを選定する際は、自社にとって必要な機能が備わっているかを事前に確認することが欠かせません。導入後に「欲しい機能がなかった」と判明すると、運用効率の低下や追加コストの発生につながるおそれがあります。
たとえば、基本的なデータの収集・統合・分析機能に加えて、既存のマーケティングツールとの連携機能や、パーソナライズ施策に対応した機能が必要となるケースもあります。また、レポート作成の柔軟性や、ダッシュボードのカスタマイズ性といった要素も、日々の運用において重要な判断材料になります。
既存システムとの連携性
CDPツールを選定する際は、既存システムとの連携性を重視することが欠かせません。シームレスな連携が実現できなければ、データ統合が不完全となり、十分な活用が難しくなってしまいます。
たとえば、CRMやMAツール、ECプラットフォームなどからスムーズにデータを取り込めるかを確認しておきましょう。あわせて、APIや標準コネクタが用意されているか、連携のために追加開発が必要かどうかも、事前にチェックしておくことが重要です。
操作性とユーザビリティ
CDPツールを選定する際は、操作性やユーザビリティの高さが重要な判断基準となります。使いやすいツールであれば、導入後の定着がスムーズに進み、データの有効活用にもつながります。
たとえば、ドラッグ&ドロップでセグメントを作成できる直感的なUIや、リアルタイムでデータを可視化できるダッシュボードが備わっていれば、非技術者でも扱いやすくなります。さらに、マニュアルやチュートリアルが充実しているかどうかも確認しておきたいポイントです。
導入前には、無料トライアルやデモ版を活用し、実際の操作感を確かめることが大切です。
導入コストと運用コストのバランス
CDPツールの導入にあたっては、初期費用だけでなく、継続的に発生する運用コストとのバランスを見極めることが大切です。高機能なツールほど導入時のコストが高くなる傾向がありますが、運用面での負担が大きすぎると、期待したROIが得られないおそれもあります。
たとえば、ライセンス費用に加えて、データ統合やカスタマイズに伴う追加開発費、さらには保守・サポートの費用が別途発生するケースもあります。一方、運用コストが抑えられていても、必要な機能が不十分では十分な効果を得られません。
データセキュリティとコンプライアンス対応
CDPツールは、大量の顧客データを取り扱うため、高度なセキュリティ対策とコンプライアンス対応も欠かせません。不適切なデータ管理は、プライバシー規制への違反や顧客からの信頼喪失といった重大なリスクにつながります。
たとえば、GDPRやCCPAなどの規制に対応するには、データの暗号化やアクセス制御の導入が必要です。さらに、顧客の同意管理機能や、データ利用ポリシーを記録・管理できる機能が備わっているツールであれば、より安心して運用できます。
ツールを選定する際は、提供されているセキュリティ機能や法令対応状況を細かく確認しましょう。
サポート体制の充実度
CDPツールを選定する際は、ベンダーがどの程度のサポート体制を整えているかを確認することも大切です。サポートが不十分だと、トラブルが発生した際に迅速な対応が難しくなり、日常の運用にも支障が出るおそれがあります。
たとえば、24時間対応のサポート窓口や、専任のカスタマーサクセスマネージャーが配置されているベンダーであれば、安心して導入・運用を進められます。さらに、導入時のトレーニングやオンボーディング支援が充実していれば、社内での活用定着もスムーズです。
導入前には、提供されるサポートの内容や、過去のトラブル対応事例などを確認し、信頼できるベンダーを選ぶことが重要です。
機能の拡張性
CDPツールを選定する際は、将来的な機能の拡張性にも注目する必要があります。企業の成長や市場環境の変化に対応するには、必要に応じて機能を追加できる柔軟なツールであることが求められます。
たとえば、新たなデータソースとの連携や、マーケティングツールとの統合を進める際に、拡張しやすいプラットフォームであればスムーズに対応できます。APIやコネクタが豊富に用意されているツールであれば、既存システムとの接続も容易です。
他社の導入事例や評判
CDPツールを選ぶ際は、他社の導入事例や評判を確認することも効果的です。実際の使用感や運用効果を知ることで、導入後の活用イメージが具体的に描けるようになります。
特に、自社と同じ業種や規模の企業がどのようにツールを活用しているかを調べると、期待できる成果が明確になります。あわせて、レビューサイトやユーザーコミュニティでの評価も参考になります。
選定時には、ベンダーに成功事例の紹介を依頼するのも効果的です。
おすすめCDPツール10選

近年、データドリブンなマーケティングが主流となる中で、CDPツールの導入は顧客理解と施策精度の向上に不可欠な存在となっています。しかし、機能・価格・連携性などの違いから「どれを選べばよいかわからない」と悩む企業も少なくありません。ここでは、数あるCDPツールの中から、特に評価が高く実績豊富な10製品を厳選して紹介します。
ツール名 | 特徴 | 強み/用途 | 価格プラン例 |
---|---|---|---|
b→dash | ノーコードでCDP/MA/BIなど16機能を統合。導入実績1,000社以上 | 初心者でも扱いやすく、業務全体を効率化。多機能All-in-one型 | 要問い合わせ |
KARTE | 1stパーティーデータに基づいたCX向上。広告やWeb接客、A/Bテスト機能も搭載 | Web/App接客や広告改善に強み。セッションリプレイや多彩なテンプレートあり | 要問い合わせ |
Rtoaster | CDP×レコメンド特化型。Web接客・パーソナライズの柔軟性と継続支援が魅力 | 精密なパーソナライズ、業種別の提案力。アパレル・金融業界など実績多数 | 要問い合わせ |
INTEGRAL-CORE | ノーコードCDP+リアルタイム処理。高度なセキュリティ対応と専用環境提供 | SCVや多業種支援。高セキュリティ環境や専任支援あり | 要問い合わせ |
gooline CDP | ETL機能付きCDP。機械学習によるセグメンテーションやチャーン予測に強み | データ統合・品質管理に優れ、パーソナライズやAI分析が充実 | 要問い合わせ |
Customer Rings | CDP+MA+BIを統合。ノーコードで分析~施策実行が可能。生成AIも搭載 | 顧客の深い理解(顧客実感)を重視。EC・BtoC業界で高い導入実績 | 要問い合わせ |
AIMSTAR | ノーコードでデータ統合・分析・AI施策まで一気通貫。CSチームが伴走支援 | 大規模データ・多IF対応。テンプレートで分析と施策設計がスムーズ | 要問い合わせ |
KiZUKAI | 生成AIでレポート自動生成&分析。ノーコードで属人化排除+DX加速 | AI活用でマーケ業務を標準化。ファクト重視の経営レポート生成に活用 | 要問い合わせ |
FLIPDESK | Web接客特化CDP。ターゲティング条件が豊富で導入しやすい価格帯 | CV改善施策に強み。有人チャットやチャットボット連携に対応 | 初期費用5万円+月額5万円(80万PVまで) |
Hightouch | DWH連携型CDP。Reverse ETLでセグメントを各ツールにノーコード連携 | 既存DWHを活かし、低コストCDP構築。スピーディーなデータ連携が得意 | 月額数万円〜(無料トライアルあり) |
b→dash

出典:https://bdash-marketing.com/
b→dashは、CDPを中心に、MA・BI・Web接客など16の機能を1つに統合したオールインワン型のデータマーケティングプラットフォームです。
ノーコードでGUI操作が可能なため、エンジニアに依存せず、誰でも簡単にデータの収集・統合・分析が行えます。導入支援や活用サポートも充実しており、すでに1,000社以上の企業で導入されています。
特に、AIを活用した「配信チャネル最適化」や「ABテスト自動最適化」など、高度なデータ活用を支援する機能が豊富で、マーケティング施策の精度向上に貢献します。
参考:b→dash
KARTE

KARTEは、Webサイト・アプリ・LINE・メールなど、あらゆる顧客接点から1st Partyデータを統合・可視化できるCDPツールです。リアルタイムでパーソナライズされた顧客体験の提供を可能にし、ユーザーごとに最適なアクションを促す設計が可能です。
Web接客やセッションリプレイ、マルチチャネル配信、LPO、広告最適化といった、顧客体験(CX)の向上に特化した機能も豊富に搭載されています。顧客の行動データを基に、最適なタイミングで適切なコンテンツを届けることで、LTVの向上や離脱防止につなげられます。
また、テンプレートを活用した施策設計や、カスタマージャーニーの可視化も可能です。
参考:KARTE
Rtoaster

出典:https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/
Rtoasterは、CDPとレコメンドエンジンを組み合わせた、パーソナライズに特化した統合プラットフォームです。
Web、アプリ、店舗など、あらゆるチャネルにおける顧客接点を横断的に分析・活用し、リアルタイムでの最適なコンテンツ提供を可能にします。属性・行動・嗜好といった多様なデータをもとに、顧客一人ひとりに合わせた体験を提供できる点が特長です。
導入支援や運用サポートも手厚く、BtoC企業におけるCV改善やLTV向上に寄与します。
参考:Rtoaster
INTEGRAL-CORE

出典:https://www.ever-rise.co.jp/integral-core/
INTEGRAL-COREは、国産のCDPとして、企業内に散在するデータのサイロ化を解消し、リアルタイムで顧客情報を一元管理できる点が特長です。
SQLを使わずに操作できるノーコード仕様により、専門知識がなくてもSCV(シングル・カスタマー・ビュー)の構築や、精度の高いプロファイル作成・分析が行えます。これにより、現場担当者でもデータを活用したマーケティング施策を実行しやすくなります。
米国CDP協会への加盟実績があるなど、グローバル水準の信頼性と技術力を兼ね備えている点も安心材料です。また、専用環境の構築や高度なデータセキュリティ対策が用意されており、金融・不動産など機密性の高い業種でも安心して導入できます。
さらに、BridgeSignalやJetJunctionなどの周辺ツールと連携することで、デバイスをまたいだ分析やGA4データの高度な活用も可能です。
gooline CDP

出典:https://digimarl.com/service/golinecdp/
gooline CDPは、高度なETL機能とリアルタイム分析機能を備えた統合型の顧客データプラットフォームです。複数のデータソースから情報を抽出・変換・統合することで、整備された高品質な顧客プロファイルを構築します。
機械学習によるセグメンテーションやレコメンド、チャーン予測にも対応しており、施策の精度やROIの向上に貢献します。
また、マルチチャネル対応によってシームレスな顧客体験を提供できるほか、異常検知機能によるデータ品質管理や柔軟なAPI連携による拡張性にも優れており、エンタープライズレベルでの活用にも適しています。
参考:gooline CDP
Customer Rings

出典:https://www.customer-rings.com/
Customer Ringsは、CRMやMAツールの機能に加え、CDP・BIを一体化した「顧客実感型」のマーケティングプラットフォームです。顧客情報・購買履歴・アクセスログなどを統合・分析し、セグメントの抽出からメール・LINE・SMSでの配信まで、すべてノーコードで対応できます。
生成AIによる施策提案や、自動でメール件名を生成する機能も備えており、担当者の業務効率化と施策の精度向上を同時に実現します。
顧客一人ひとりの感情や行動の変化を捉え、LTVの最大化を支援する仕組みも充実。EC・D2C・BtoC事業者を中心に、すでに800社以上で導入されています。
AIMSTAR

AIMSTARは、CDP・MA・分析機能を一体化したデータ活用プラットフォームです。大規模かつ多チャネルなデータ統合に対応しており、ノーコードでのデータ取込や、AIを活用したスコアリングやレコメンドも可能です。
分析から抽出、シナリオ作成までをシームレスに行えるため、マーケターの施策実行スピードが大幅に向上します。メール・LINE・プッシュ通知といったマルチチャネル配信にも対応し、パーソナライズ施策の精度向上にも貢献します。
さらに、カスタマーサクセスチームによる伴走支援も高く評価されており、通販・EC・小売・金融など、さまざまな業界で導入が進んでいます。
参考:AIMSTAR
KiZUKAI

KiZUKAIは、生成AIとノーコード技術を活用し、データの統合から分析・レポーティングまでを自動化する次世代型のCDPソリューションです。
企業内に点在するデータを効率的に整理・統合し、属人化しがちな業務を「AI社員」が仕組み化。ブラックボックス化しやすいデータ業務を可視化・最適化することで、マーケティング施策の迅速な実行を支援します。
また、ビジネス課題に応じて生成されるカスタムレポートにより、データドリブンな意思決定を後押し。短期間で成果につながる環境を構築し、企業のDX推進を力強く支えます。
参考:KiZUKAI
Flipdesk

出典:https://materialdigital.jp/company/news/20220728-23185/
Flipdeskは、Web接客に特化したCDP型ツールです。サイト訪問者の行動に応じた柔軟な接客シナリオを、ノーコードで簡単に設計・実行できる点が特長です。
チャットボット機能「Cross Talk」との連携により、対話データもCDPに統合。これにより、より精度の高いターゲティングやレコメンドが可能になります。
直感的に操作できるUI設計に加え、低価格で導入できる点も魅力のひとつ。マーケティングファネルの設計支援やCV改善に向けたデータ活用機能も充実しています。
参考:Flipdesk
Hightouch

出典:https://growth-marketing.jp/hightouch/
Hightouchは、DWHに蓄積された顧客データをノーコードで各種マーケティングツールと連携できる「リバースETL」型のCDPです。
データの抽出やセグメントの作成、メール配信や広告連携までを、マーケター自身が数クリックで実行可能。従来はエンジニアに依頼していた作業も、自分たちで柔軟にコントロールできます。
また、DWH上にあるブランド横断のデータや機械学習の予測結果を活用することで、パーソナライズ施策やAIを活用したマーケティングの精度向上にもつながります。
ストレージやセキュリティに関する運用コストの削減にも寄与するため、既存CDPのコスト面に課題を感じている企業にも有効です。
参考:Hightouch
CDPツール導入の成功事例

CDPツール導入の成功事例として、EC業界での顧客体験向上や、サービス業でのリピーター獲得に繋がった事例があります。それぞれの具体的な効果を確認しましょう。
EC業界での成功事例
ある大手ECサイトでは、CDPを導入することで顧客データの一元管理を実現。購入履歴や閲覧履歴をもとに、パーソナライズされたマーケティング施策を展開しました。
顧客ごとの嗜好に応じた商品レコメンドが可能となり、コンバージョン率の大幅な向上につながっています。たとえば、過去に特定ブランドを購入した顧客に対して、そのブランドの新商品情報をメールで配信したところ、メールの開封率は25%、クリック率は15%上昇しました。
また、サイト内のレコメンド機能を強化した結果、平均注文額も20%増加。ユーザー体験の質が向上し、売上拡大にも貢献しています。
さらに、CDPで分析したデータを広告配信にも活用。顧客属性に応じたターゲティング広告を実施することで、広告ROIが30%改善されました。
サービス業での成功事例
ある高級ホテルチェーンでは、CDPを導入し、宿泊履歴やアンケート結果、オンラインでの行動データを統合管理。顧客ごとに最適化されたサービスを提供することで、リピーターの増加につなげました。
たとえば、過去にスパを利用した顧客には、滞在中に利用できる特別割引の案内メールを配信。これによりスパの利用率が15%向上し、付帯サービス全体の売上も20%増加しました。
また、リピーターに対しては、誕生日に無料宿泊券をプレゼントする施策を実施。リピート率は25%アップし、顧客との関係強化に貢献しました。
加えて、CDPで分析したデータをもとに、新規顧客向けのターゲティング広告も展開。オンライン予約率が10%増え、集客力の向上にもつながっています。
自社に最適なCDPツールを選定し導入を成功させよう

CDPツールは、顧客データの一元管理やパーソナライズ施策の実現に欠かせません。しかし、機能・価格・連携性などはツールごとに大きく異なるため、自社の課題や目的に応じた選定が重要となります。本記事で紹介した10のCDPツールは、それぞれ異なる強みを持ち、あらゆる業種・規模の企業に対応できる選択肢です。まずは、自社が求める要件を整理し、無料トライアルや導入事例を確認しながら比較検討を進めましょう。そして、最適なツールを導入し、顧客理解の深化とマーケティング成果の最大化を目指しましょう。