Apple Developer Programとは何かを知り、登録に必要なものや利用できる便利なツールなどを紹介します。個人と法人では登録方法が大きく異なるため、全体像を掴むためにもどのようなサービスかを確認しましょう。
Apple Developer Programは、Apple社製品向けにアプリ開発を行う際、開発から公開までの作業を効率よく行うことができるサービスです。
iOSアプリやMacアプリの開発を行いたいプログラマーの方や、これからApple製品向けのアプリ開発に携わりたいプログラミング初心者にとって、使い方を覚えておきたいサービスになります。
今回はApple Developer Programを導入するにあたり何が必要で、どのようなことができるかを紹介します。Apple Developer Programを活用して、開発から公開までを効率的に行いましょう。
目次
Apple Developer Programってどんなサイト?

iPhoneやMacなど、Apple社が提供する製品向けのアプリ開発を行う際に活用されている公式メンバーシップです。公式サイトでは最新情報やドキュメントなど、開発に必須となる情報や開発ツールが提供されています。
Apple Developer Programで利用できるツール
Apple Developer Programに登録することで、以下のツールが利用できます。
- テストツール
- アプリの分析
- ベータ版
たとえば、Apple Developer Programに登録することで、最新のベータ版を先行学習できるため、次のアップデートに対応可能な開発が行えるだけでなく、アプリの分析によって効果検証を行うことも可能です。
各サービスの詳細はApple Developer Programの公式サイトに記載されており、ツールのイメージと詳細を簡単に確認できます。より詳しくサービス内容を知りたいという方は、ぜひ、サイトを訪れてみてください。
App Store Connectでは、以下の分析を行えます。
- 収益
- 広告の効果
- コンテンツの関連性
これらの分析が可能になると、より良い製品の開発に役立ちます。サブスクリプションの更新がどれくらい継続されているのか、予約注文がどのくらいあるのか、といった確認ができ、毎月の収益レポートもダウンロードできます。また、複数人でアプリを開発する際、新しくメンバーを追加することも可能です。
Apple Developer Programのサービス
Apple Developer Programでは、以下のサービスが利用できます。
- アプリの公開
- 最新情報の獲得
Technical Support Incident (TSI)というサービスでは、プログラムに加入している方向けに、Appleの専門家からコードのアドバイスや、バグの特定や修正方法についてのサポートを受けられます。
質問は英語で行う必要がありますが、ソースコードやコンソールの出力結果などを提示することで、具体的なアドバイスが受けられるため、学習を進めていくうちに発生したエラーの解決に非常に有効です。
さらに一般公開前から最新のApple製品の情報を受け取ることができ、開発用のドキュメントも確認できることから、Apple製品のアプリエンジニアは、Apple Developer Programの利用は必須と言えます。
登録条件を確認しておこう
Apple Developer Programを利用するためには、まず登録する必要があります。登録には、いくつかの条件を満たさなければいけません。
まず個人(個人事業主や個人経営者)の場合、2ファクタ認証機能が有効なApple IDで登録を行います。組織(法人)の場合は、法人であることを前提として、2ファクタ認証に加えてD-U-N-S番号、法的な契約を結ぶ権限、組織に関連付けられたWebサイトなどの情報が必要です。
以上の条件を満たした上で、個人情報の入力や、本人確認書類の提示が必要となります。続いて登録にかかる費用についても確認します。
登録料金がかかる
Apple Developer Programの登録には、年間$99がかかります。たとえば1ドル147円の為替レートで計算してみると、日本円で14,553円です。
開発したアプリを公開するためには登録が必要ですが、登録しなくても無料のApple IDがあれば、開発に役立つ各種特典を利用できます。
そこで、初心者の方はアプリ開発ができるようになるまで無料のApple IDで学習を行い、実際に完成してアプリを公開する段階になってから有料登録へ変更しましょう。
なお、対象地域(日本を含む)において無料アプリのみを配信する非営利団体や認定を受けた教育機関・政府機関は、年間登録料の免除申請を行うことができ、承認されれば無料で利用できます。
登録しなくても利用できるものもある
無料のApple IDで受けられる特典は、有料登録時に比べて限定的ではありますが、目的によっては特典だけでも十分な場合があります。まずは無料と有料でそれぞれ利用できる機能について比較してみましょう。
【 無料 】で利用できるサービス
- Xcodeでのデベロッパツール利用
- Xcodeでのベータ版リリース
- デバイスでのテスト
- Apple Developer Forum
- バグの報告
有料登録においては、無料で利用できる機能に加え、以下のサービスが利用できます。
【 有料 】で利用できるサービス
- コード単位でのサポート
- アプリの公開
- アプリの分析
- 社内向け独自Appの配信
- テスト、管理、分析
以上のように有料登録することによって、さらに多くの機能が利用可能です。詳しくは公式サイトで確認できます。
Apple Developer Programに有料で登録するメリット

Apple Developer Programは、無料でもデベロッパツールやサンプルコードの利用、ドキュメントの確認やテストを行えます。では、年間$99かかる有料なメンバーシップに加入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
公開前の最新版ツールを利用できる
Apple Developer Programに登録していれば、一般公開される前の新機能をいち早く知ることができます。メンバーを限定としたイベントやコンテンツへのアクセスが可能で、今後、新しい機能の追加やApple Glassのアプリ開発なども予想される中、メンバーだけが先に情報を得られるというのは大きなメリットと言えます。
アプリ開発に活用できるドキュメントが読める
システムやアプリを開発するにあたって正確なコードの書き方を学習するために、公式から出されたドキュメントを読むことは非常に効率的です。
また、自社製品用にAppleが作ったプログラミング言語であるSwiftの情報は、他の言語よりも少ないため、より多くの情報を得るためにApple Developer Programへ登録することをおすすめします。
アプリ開発用のベータテストが利用できる
開発中のアプリは、Apple Developer Programのメンバーシップ登録されているデバイスへインストールし、テストを行うことが可能です。この機能は不具合を発見し、公開時に問題なくアプリを動作させるためにも必要な機能だと考えられます。
なお、ベータテストを行う際は、あらかじめバックアップの作成や、データが消えても問題ないようなデバイスにインストールすることが推奨されています。
Apple Developer Programに登録するときに気を付けたい点とは?

アプリ開発について学びたいのであれば、無料でも十分です。しかし、アプリを一般公開する場合は有料登録を行う必要があります。したがって、有料登録を検討している方は、登録時の注意点を事前に確認しておきましょう。
Apple Developer Program用にApple IDの取得が必要
Apple IDを持っていない場合は、新しく作成する必要があります。Apple ID作成時には、メールアドレスとパスワード、名前や誕生日、秘密の質問(パスワードリセット用)を記載する必要があります。
Apple Developer Programに登録するには、2ファクタ認証が有効になっているApple IDが必要です。2ファクタ認証とは、2重の認証にすることでセキュリティを向上する仕組みです。2ファクタ認証が未設定の場合は、デバイス本体またはWeb上から2ファクタ認証設定の手続きをしておきましょう。
情報の入力は英語で行う
Apple Developer Programへ登録する際には、英語での選択肢や文章が続きます。注意しなければいけないのが、「Confirm your personal information」では日本語での入力で良いのに対し、「Romanized Contact Information」では英語で入力する必要があるということです。
とくに、住所は日本語とは表記が異なるため、英語表記に心配がある場合は、翻訳機を活用したうえで、登録作業を行うことをおすすめします。
Apple Developerの登録手順と必要なもの

登録方法や必要なものは個人と法人で異なります。どちらも2ファクタ認証が設定されたApple IDが必要ですが、法人(組織)の場合は、加えてD-U-N-S番号・法人であることの証明・対象法人のWebサイトなどが必要です。
IDの作成方法とD-U-N-S Numberの取得方法
個人と法人のどちらもApple IDが必要になります。Apple IDは、Appleの公式サイト内にある、「Apple IDを作成」から作成します。作成後は、2ファクタ認証を有効にしておきましょう。
【 法人(組織)の場合 】
D-U-N-S番号は世界的に企業を識別できる企業コードのことで、未取得の場合、東京商工リサーチに依頼すると、有料で取得できます。手続きはオンラインで行うことができ、申請後は5営業日以内にメールにて通知されます。
また、Apple公式サイトからも検索・取得申請が可能で、こちらでは無料で申請手続きが可能です。ただし、Apple公式サイトからの申請を行なった場合、英語表記での申請が必要となり、さらに手続き完了まで最大2週間かかるため、余裕を持って手続きすることをおすすめします。
Apple Developer Programへの登録方法

個人・法人それぞれに適した条件を満たすと、Apple Developer Programに登録できます。
上記のURLからメニューにあるAccountを選び、アカウントの登録を行います。メールアドレスとパスワードを入力後、求められる個人情報を入力してください。
その後、個人か法人、教育団体、政府機関のいずれかを選択します。利用規約が表示されたらチェックを入れ、送信ボタンをクリックします。メンバーシップの購入詳細が表示されるので、購入する際はPurchaseボタンを押してください。
以上でApple Developer Programへの登録は完了です。登録完了後、購入完了のお知らせとメンバーシップの確認のためにメールが届きますので、忘れずに確認してください。
登録に必要なもの
2ファクタ認証が有効なApple IDのほか、法人(組織)の場合はD-U-N-S番号やWebサイトが必要となります。
また、メンバーシップを購入するためにクレジットカード情報も必要となりますので、適切なクレジットカードを用意しておくことをおすすめします。
Apple Developer Programrに登録後の更新について

Apple Developer Programのメンバーシップは1年毎の契約です。更新手続きを行わず有効期限が切れてしまうと使えなくなってしまうため、ここからはメンバーシップの更新について、解説します。
1年ごとに登録を更新する必要がある
メンバーシップは年単位で購入するため、継続する場合は更新作業を行う必要があります。自動更新の設定がされていれば、有効期限日にApple IDに関連付けられているクレジットカードなどに請求が行われ更新が完了します。しかし、自動更新は特定の対象国のみで、日本では自動更新の設定がありません。そのため、継続して利用するのであれば更新作業は必須となります。
更新手続きは有効期限の30日前から可能であり、更新手続きを促すメールも配信されます。また、有効期限が切れたあと、いつでも更新することが可能です。更新手続き完了後、24時間以内に再度、公開されているアプリはダウンロードできます。
更新時にもメンバーを変更できる
Apple公式サイトによると、個人メンバーシップから組織メンバーシップへの変更といった処理は、更新手続き中にはできないため、更新完了後に行いましょう。
組織メンバーシップの場合、自動更新を管理できるAccount Holderがあります。組織メンバーシップ内に登録されているメンバーの役割変更においても、メンバーシップの更新完了後に行う必要がありますので、注意しておきましょう。
Apple Developer Programは開発に役立つツールが豊富

Apple Developer Programは、無料のApple IDのままでも公式ドキュメントや開発ツールの利用、テストを行えます。一方、有料でのメンバーシップ登録では、さらにアプリの一般公開、分析、コード単位でのサポートなどがあり、開発に役立つツールが多く用意されています。
iPhoneやMacなどのApple社製品でのアプリの開発を考えている方は、ぜひApple Developer Programに登録してみてはいかがでしょうか。